イニシャルコストダウン方法
イニシャルコストとは「初期経費」のことであり、当業界では金型製作費に該当する。
金型製作費を抑える方法は幾つかありますが、多くが金型製作会社に任せっきりとなっている現実があります。製品メーカーが任せっきりだというのであれば、まだしも、メーカーから製作依頼を受けた成形業者が金型製作業者に丸投げする事は生産性や品質に悪影響を与えるばかりか、技術の蓄積に繋がらず問題だといえます。
<イニシャルコストダウンを行う為には>
- 金型製作を海外、特に中国で行う。
- 国内業者で合い見積もりを取って一番安い業者に依頼する。
- 頻繁にお願いしている業者に無理言ってお願いする。
単純に金型製作費を下げる目的ですと、この3種類の方法が考えられます。重要なポイントは依頼する金型製作業者の質です。寸法精度はもちろんの事、成形性も考慮している金型の設計になっているか、金型は想定している樹脂の特長を考慮しているか等、総合的なバランス感覚が大切です。
1の場合の頻繁に起こる問題点としては、駒合わせ構造が金型の加工し易さを中心としていて、成形性を考えていない事です、駒材は比較的に良い物を使っていますが、ガスの逃げを考慮していなかったり、突き出し位置に配慮が無かったりする傾向にあります。
2の場合は私が一番避けたい方法です、金型を安くすることは最近の工作機械では簡単な事です。極端な場合、じか彫りしますととりあえず試作段階で良品が取れますが、耐久性がない金型である事は言うまでもありません。ある一定の条件を提示しての合い見積もりであれば問題ないのですが、その条件を出せる技術的な蓄積が必要となります。
3の場合は比較的に問題のおきない方法かと思いますが、無理をお願いしている為長続きしない現実があります。
推奨する最適な方法が、製品設計から金型、成形までの事を考慮に入れて設計を行う事です。
弊社に問い合わせを頂く中に開発を行ったが思うような要求性能が発揮できないとの案件が多数あります。多くは要求性能に沿った製造方法を行っていないことが挙げられます。イニシャルコストを低減する方法は金型構造や金型の加工し易さなどを踏まえた製品設計が不可欠です。
実は製品設計でこれらの技術を踏まえて設計しますと驚くほどの効果があります。