ソリの改善方法
ソリの発生原因
ソリには離型直後に変形する場合と、離型後徐々に変形する場合の2種類ありますが、どちらも射出成形にとっては頭の痛い問題です。ソリにより寸法が大きく変化してしまうことや、摺動面などの機能面で大きな問題となります。頭の痛い問題とは対応策が限られており、感覚ですが、成形条件のみではせいぜいソリを半減させるのが精いっぱいであろうと思います。シミュレーションが最大限活用できる分野です。
基本的対策は下記の通りです。
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冷却バランスの不均衡によるもの - 1-2
内部応力の不均一によるもの - 1-3
樹脂の射出時の流れ方向によるもの
<成形条件による対策>
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金型は溶融樹脂を冷却する機能を持っています。高い温度の溶融樹脂が金型に接触することで熱が奪われて冷却固化します。その際に熱エネルギーが多い場所や蓄熱が多い場所などは局所的に金型温度が高まり冷却固化を遅らせてしまいます。成形サイクル内で温度差を緩和させることは難しく、金型の冷却効率を十分に配慮する必要があります。 - 2-2
製品は不均一な充填圧力で成り立っています。一般にはゲート付近が過充填になり、流動末端に充填圧力が低下する傾向です。その他、厚肉部や蓄熱部は充填圧力が低下する部分です。このことを理解してゲート位置や製品設計を行う必要があります。 - 2-3
この対策が一番難しいといえます。製品形状と材質により流動が変化しますし、冷却効率によっても変わってきます。特に繊維状添加剤が加わることで、さらに複雑になります。この分野は射出成形用シミュレーションを頼るしか方法はないといえます。
当社ではMoldex 3D(射出成形用シミュレーションソフト)を導入しており、 ソリ・変形を事前解析により出来る限り安定させた条件により金型作成に取り掛かります。このことを行わないまま起型をスタートさせることの危うさを熟知しております。
<IMP工法・IMM工法による改善方法>
本工法は射出圧縮成形であり、2-2の充填圧力を均一化する効果はございます。しかし、2-1や2-3には殆ど効果はないといえます。IMM工法が若干、2-3に対して効果がございますが、部分的な部位のみであり、製品全体に渡る効果はございません。