ウエルドラインの改善方法
ウエルドラインとは多点ゲートや製品に窓や穴の存在する製品で樹脂が二手に分かれ再合流する時に、合わさった樹脂の表面が若干固化している事から起こる現象です。外観的な解消方法は基本的に合わさる樹脂の表面の固化し難い条件を作り出す事となります。
- 成形条件では金型温度を上げて固化を遅らせる方法
- 射出速度を早く設定して表面の固化層を薄くする方法
- 樹脂温度を高めに設定する方法
- 樹脂圧を高めに設定する方法
この4種類の方法も実はウエルドラインを完全に消す事は出来ません。この方法では肉眼で見える程度のウエルドラインを消す事が出来るということです。完全に消すには樹脂温度と近い温度で金型を暖める必要があります。この方法がヒート&クールです。金型を温めたままでは製品が離型しませんので、金型を急速冷却することで生産をする方法です。
強度については、樹脂の物性表に衝撃強度(アイゾット ノッチ付き)という試験が御座います。プラスチックの特徴としてV溝のある製品の強度が極端に落ちる特徴があり、この試験の「ノッチ付き」とはあえてV溝を付けて破壊強度を測定しています。V溝が深く、低部がU字ではなくV字になればなるほど強度が落ちます
ウエルドラインの完全な解消を行えない事から、破壊強度も多少の改善はあってもウェルドライン以外の部位強度と同等とはいきません。
当社では設計上、ウエルドラインの強度を通常の50%減に設定しております。この程度で強度設定しませんと、強度不足となり、重大な欠点となります。
また、忘れてはならないのが、繊維状の充填材(ガラス繊維)の場合です。ガラス繊維は樹脂が流れている工程で繊維が溶解樹脂の先端に固まる性質があります。よって樹脂の合わせ目は樹脂成分ではなくガラス成分が集まります。
繊維の大きさが小さい為にその様な層は目視できませんが、極端に強度不足の箇所が帯状に出来ることになります。
この解決方法は上記4項目やヒート&クールでも改善しません。ガラス繊維入りの材料で製品設計、金型設計を行う時にはこのことを配慮して行う必要がございます。
<IMP工法による改善方法>
IMP工法でも改善方法は基本的に上記の4項目となります。この4項目を通常より高いレベルで行え、外観、強度共に改善しますが、や はり完全なウエルドラインの解消には到りません。
また、ガラス繊維入りの場合はどのような条件下でも、ある一定以上のウエルドラインの強度改善はできません。しかし、多点ゲートにする理由としましては、寸法の安定、ヒケ・ボイドの制御が主な目的です。
その点、IMP工法ですと多点ゲートにする必要性が無く安定的な製品が製作できますので、その意味からウエルドラインの解消に繋がります。
<IMM工法による改善方法>
IMM工法はウエルドラインの改善を目的に開発した技術です。特に強度面での改質に効果があり、ガラス繊維・カーボン繊維等繊維状添加剤の材料でのウエルドライン強度不足に大きな効果を発揮いたします。