樹脂の内部応力とアニーリング
樹脂製品においてアニーリングの目的は
①応力除去
②寸法調整
③結晶化促進
3種類です。
「応力除去」は射出成形ではゲート部と充填末端とでは応力の掛かりかたが異なる様に、製品における応力が不均一に分布しています。この応力を均一化することを目的としています。応力の均一化は製品の後変形を促しますので、アニーリング後の寸法にて寸法管理を行う場合などは高い技術力が必要になります。また、応力除去の目的として、充填圧力が高い部位は強度低下する部位でもあるため、応力除去により欠陥部位を無くすことを目的としている場合もあります。
「寸法調整」は2種類の目的があります。
一つは製品が何らかの理由で変形してしまい、成形後、矯正を行った後にアニーリングにより変形を抑える場合
一つは射出成形業者が成形条件では収まりきらない寸法(多くは寸法が大きめにあがっている場合)を納めることを目的として行う場合
です。両方共に加工業社としては行いたくない加工方法ですが、製品形状などの問題でやむなく行うことがあります。
「結晶化促進」は結晶性樹脂の場合、結晶化度が製品の強度に依存します。結晶化度が高いと強度が高くなります。一般的な成形方法では結晶化度は樹脂の持っているそれには及びませんので、強度はそれなりのものになります。そこで、樹脂の持っている強度を最大化にする目的で、アニーリングを行うことがございます。
アニーリングの条件はその目的によって様々であり、材料や成形条件に合ったアニール条件を導き出す必要があります。